医用超音波顕微鏡

医用超音波顕微鏡は、超音波の反射強度や音速の変化から、対象物の固さを観察することができるのが特徴。超音波の分野で世界をリードする本多電子が技術の粋を集めたオンリーワンの顕微鏡です。

img_recruit_interview_story_case1_01

ニッチ市場でオンリーワンを目指す

世界的大手メーカーの合従連衡による主導権争い、材料原価を割るような廉価品を次々と作り出す中国企業の脅威…。業界の大波に飲み込まれ、私たち本多電子は医療機器製造の分野での立ち位置を失いかけていました。そこで打ち出したコンセプトが「ニッチでオンリーワンを狙う」。私たちならではの医用機器開発が始まりました。

開発に至った経緯

img_recruit_interview_story_case1_02

数々の製品を生み出した開発のスペシャリスト

研究部長の小林和人は半世紀近く本多電子に勤めてきた開発のスペシャリスト。魚群探知機やスキャンニングソナーなど、これまでにさまざまな製品を開発してきました。
医療関連でも、USBポートにつなげば誰でもカンタンにパソコン上で妊婦のお腹の中の様子がスクリーニングできる「USB超音波診断装置」などを開発。残念ながら、数台しか売れず、事業化には至りませんでした。

img_recruit_interview_story_case1_03

日の目を見なかった超音波顕微鏡に脚光

1980年代後半には、超音波の技術を活用した顕微鏡を製作。こちらも日の目を見ることはなかったのですが、2003年のある日、東北大学抗酸菌研究所から数分でがんの測定ができる超音波顕微鏡を実用化することはできないかとの相談を持ちかけられたのです。まさしくニッチな市場。プロジェクトが動きはじめました。

Passion

img_recruit_interview_story_case1_04

超音波顕微鏡開発の真の目的はがんを撲滅すること

「絶対にがんを撲滅します」
とある年の社員旅行で、小林は出席者全員を前にして、こう決意を述べました。超音波顕微鏡の開発に、小林は相当の決意を持って臨んでいることが伺えます。この思いが結実する日がいつか来ることを願ってやみません。

開発に向けた課題

img_recruit_interview_story_case1_05

がん組織の特定検査がわずか2分でできるように

例えば胃がんの場合、手術ですべてのがん細胞を取り切ったかどうかについては、断面を染色液につけ光学顕微鏡で確認するという作業が行われていました。しかしこの方法だと結果が出るまでに半日もかかってしまうため、医師や患者の負担が問題となっていたのです。
そこでクローズアップされたのが超音波顕微鏡。豊橋技術科学大学の協力の下で研究を進めた結果、理論通りがん組織の特定を2〜3分でできるようになりました。

img_recruit_interview_story_case1_06

技術を生かし画期的な製品をつくったものの…

超音波というどこにも負けない技術を生かし、医学生物学とに特化した超音波顕微鏡。「ニッチでオンリーワン」を狙うとのコンセプトに合致した画期的な商品でしたが、古くから確立された方法や慣習が重要視される日本の医学界では、あまり重宝されることはなかったようです。小林は「販売台数も思っていたほどは伸びませんでした」と振り返りました。

課題を乗り越えて

img_recruit_interview_story_case1_07

日本がダメなら海外で販売を

日本で販売数を増やすのが難しい状況を踏まえ、小林は海外に活路を見出します。まだ医療体制が確立しているとは言い難い東南アジアの国にターゲットを絞り、JICAの協力の下、2019年にインドネシアの病院でデモンストレーションを行いました。

img_recruit_interview_story_case1_08

海外で得た好感触から次のステップへ

ここで活躍したのが川口祐季です。研究部で事務職を行いつつ、小林の補佐役でさまざまな検査を担当する川口が、現地のドクターを前に使い方や特徴を説明しました。
「わかりやすく超音波の優位性を説明することを心掛けた結果、ドクターたちも興味を持ってくれたようでした」
手応えを掴んだ小林と川口は案件化調査や治験など、次のステップに向けて踏み出していきます。

今後の展望

img_recruit_interview_story_case1_09

医療分野以外の応用も模索

コロナ禍の影響で身動きが取れない状況となっていますが、ただ手をこまねいているわけではありません。ユーザーや医師らで構成する勉強会「超音波顕微鏡研究会」を立ち上げ、情報共有・発信に力を入れはじめました。また、硬さが観察できる超音波顕微鏡の特性を生かし、化粧水の肌の変化への影響を調べる共同研究を資生堂と実施するなど、医療分野以外での応用も模索しています。

img_recruit_interview_story_case1_10

世の中の役に立つことが一番の願い

小林は再生医療分野での活用に期待を寄せつつ、こう締めくくった。「もちろんビジネスとして成立させ会社の発展に寄与したいという気持ちもありますが、なによりも超音波顕微鏡に関する私たちの研究が、世の中の役に立つことが一番の願いです」

Passion

img_recruit_interview_story_case1_11

小林部長が身につけた知識や経験を次世代に伝えていくために

「小林さんの知識や経験をそこで終わらせてしまうのではなく、本多電子の大切な財産として受け継いでいかなくてはならないと思っています」と川口は語る。文系の出身で用語を覚えるだけでひと苦労したが、知見の伝承に対する思いは並々ならぬものがあるようです。

開発者の紹介

About Me

img_recruit_interview_story_case1_12

研究部長
小林和人

本多電子を代表する開発のスペシャリスト。医療機器以外にもさまざまな製品を作ってきました。60代後半とは思えないバイタリティで、精力的に仕事をこなしています。

About Me

img_recruit_interview_story_case1_13

研究部 計測応用研究室
川口祐季

理系の知識がまったくないまま、会社で一番の開発者の下で日夜業務に励んでいます。小林が「真面目すぎて心配」と語るほど、生真面目で素直な性格。一歩ずつ着実に成長しています。

PAGE TOP